説明不要の往年のDTM音源。
入手
1998年ごろ、ミュージ郎というパッケージで新品を購入した。8万円くらいしたかな。
もう20年も前のことか。今ではリアパネルも錆び、ボタンも反応が悪くなって、時の流れを無情に感じる。
特徴
千種類を超える音色を備える。それまでPC標準搭載のFM音源でMIDIデータを作っていたこともあり、同じ曲をこの音源の音で聞いた時は感動した。
ミュージ郎として付属するCakewalk 6というシーケンサソフトでまあよくDTMしたもの。
まだUSBがなかった頃の機材であり、PCとはRS-232Cで接続する。
インサーションエフェクトを売りにしていたが、MIDI信号でこれを制御するにはシステムエクスクルーシブメッセージというものを理解する必要があり、多くのユーザーが挫折したことと思う。あれは16進の羅列を入力するという意味で、音源モジュールに対するマシン語プログラミングみたいなものだった。そりゃ難しいよな。まあ私の場合はそもそもエフェクトというものを理解しておらず、それ以前の問題だった。エフェクトのかけ方は分かったとしても、どの音にどのエフェクトを掛けたらいいか、使い所が分からなければ仕方ない。
惜しいところ
フロントパネル操作はほとんど隠しコマンドな同時押し系の操作が多くて覚えられなかった。
DTMブーム?
この音源がよく売れ、ネット上に“SC-88Pro推奨”のMIDIデータがあふれたあの頃=90年代後半あたりは今“第一次DTMブーム”と言われ顧みられているようだ。
自分としては単に“楽器”を購入したつもりなわけで、ブームに乗ったつもりもないし、あれが一過性の“ブーム”だったとも認めたくないのだが、まあ実際はブームといえばブームだったのかもしれない。
楽器経験がなくてもできる? と楽譜の読み書きもできない人が購入するもDTMとてやはり楽器であり音楽的素養が必要なのねと気付いたこと、またそれなりに素養はあっても、DTMとは“デスクトップで音楽が生み出せて君もミュージシャンに?!”という意味と思わせて、実際は“デスクトップでのみ通用する音楽”の意味だったかと気付いたことで夢から覚めそのブームは去ったというところか。
DTM音源一丁じゃあデスクトップの域を越える音楽は作れない?
いや作れるのかもしれないけど、その頃にはもう「DTMやってます」なんて言い方しないんじゃないかと思う。